待ってくれてる人がいるのだな

合コン1次会はやがて終わった
幹事同士は、実は出来上がってる関係と聞かされていたので2次会は堅い
サポート2番手がだらしなく、可愛いナースに食いついてしまって自分の仕事がおろそかになり
幹事の子の同僚という2人の子が帰ると言い出した
居酒屋を出てちょっと、帰るの帰さないのと路上でやって
すったもんだのあげく、12人全員で地下にあるバーに入った

店は週末で混んでいた
奥にはテーブル席もあったがとても全員が座れるわけでなく、3つのグループくらいになんとなく分かれて立ち飲みスペースに陣取った
NG子は俺から離れない 小一時間が経った
いつの間にか幹事男と幹事子が奥のテーブル席で2人だけでいちゃついてる
残りの4人の男は、ナース彼女を狙ってけん制しあっていたが、脱落者が出て「やっぱり帰る」と言い出した幹事の子の同僚を送っていくと言う
あまり酒に強くない俺は酔っ払い始めていた このままいってNG子と朝まで過ごすことになったら困る
一応NG子と連絡先を交換して区切りをつけた 京都への終電を頭に入れて、1次会で話していなかった女の子たちと話してみる
「案内するから京都の紅葉シーズンにおいでよ」というのが決まり文句
とは言っても、田舎から京都に出てきて俺だってその年が紅葉シーズンは初めてなのに

隙をついてアイドルナース彼女に話しかける 酔っぱらってるから口が軽い
「ほんとに美人ですよね〜」「あはは、毎日よー言われる」彼女も酔っている
「どこかで会ったことないですか」「あ、それもよー言われる、道歩いてたら言われる」
「名前なんていうの?」彼女は俺の名前を聞いてきた
さっきの店で自己紹介しなかったけ、と思いながらもフルネームで答えた
俺の苗字はちょっと独特で、音で聞いただけでは漢字が思い浮かばないと思う
聞き返す彼女に、俺はテーブルにあった飲み物を注文する紙に鉛筆で名前の漢字を書いた
彼女は最初横から覗き込むように俺の字を見ていた
そしてその紙をゆっくり手に取って見ていた 長い間じっと見ていた

「えーっ、うそやん」彼女は目を見開いて俺の顔をまじまじと見てきた
そして彼女の口から出てきたのは俺以外そこにいる誰も知らない遠く離れた田舎の中学の学校名だった