竹園へ

この手紙をもって僕の種牡馬としての最後の仕事とする。
まず、僕の醜態を解明するために、JRAに能力研究をお願いしたい。
以下に、種牡馬についての愚見を述べる。
種牡馬入りを考える際、第一選択はあくまで競走成績であるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には僕自身の場合がそうであるように、子供の競馬でしんがり負けやブービーがしばしば見受けられる。
その場合には、成長放牧を含む調教が必要となるが、残念ながら未だ満足のいく成果には至っていない。
これからの日本の種牡馬の飛躍は、競走成績以外の判断材料の発展にかかっている。
僕は、君がその一翼を担える数少ない馬主であると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
君には日本の種牡馬の発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、ラキ珍による種牡馬入りがこの世からなくなることを信じている。
ひいては、僕の精液を精密検査の後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。
屍は生ける師なり。
なお、自らGI7勝である者が良馬を出せず、能力不能の子供ばかり出していることを心より恥じる。

                                                          テイエムオペラオー