松田の言葉をきっかけに立ち止まり、そして開けたトップジョッキへの道──。
その間には、多くの苦悩があったはずだが、川田に「“これから自分はどうしたらいいんだろう…”と、漠然と迷った時期はありませんか?」と問うと、
「ないです」と即答。立ち止まることはあっても、とにかくブレない、迷わない。これが川田の真骨頂であり、錆び付くことを知らない大きな武器なのだと思う。

「さっきも言ったように、目の前のひとつひとつのレースで精一杯でしたから、迷う暇なんてなかったです。それに、もともと目指すところはひとつですからね。
僕は人付き合いが苦手で、可愛がられて人脈を広げていくタイプではない。
だから、競馬で求められた以上の結果を得る、また乗せたいと思ってもらえる騎乗をする、本当にその一心でここまでやってきました。
キャリアを積むごとに理解してくれる方も増えましたが、それでもまだ僕のことが嫌いな人は多いと思います。
でも、それはもうしょうがない。それが僕であり、今さら変わることはできないし、変わろうとも思っていません。でも、そのぶん競馬で結果を出す。それが僕のやり方ですから」