哲郎氏によれば、大塚騎手が競馬学校生の厩舎実習時代から暴力行為が繰り返されていたといい、「そのうち日時、場所等について明確に記憶している2件を主として、被害届を提出しました」とも話した。

 調教師が騎手に暴行とは穏やかではない。だが、これまでも競馬界では同様の事件が発生している。

 19年10月には戸田博文調教師が、検量室でビデオを確認後に退室しようとした松若風馬騎手を蹴ったとして、過怠金20万円が科されられた。

 事件の発端となったのは当日の2R・2歳未勝利(芝2000m)。戸田調教師が管理するスパニッシュアート(騎乗は三浦皇成騎手)に対して、松若騎手のアスターファゴットが、4角から直線にかけて、外から接触したり、内に閉じ込めたりするなどの走行を妨害するかのような行為があったためだといわれている。

「このときのアスターファゴットの動きは、完全に“クセ”であり、騎手が手綱でどうにかできるものではなかったというのが関係者たちの総意。戸田調教師に暴行された松若騎手はみんなから同情されていましたよ。

それもあり、戸田調教師は、調教師の免許更新があった際に、1番最後に回され、時間無制限でこっぴどく絞られたみたいです。松若風馬騎手への粗暴な行為以外にも、自厩舎のスタッフに対して怒鳴ったり、手を上げたりするなどのウワサもありましたので、その辺りまで詰められたみたいですね。『免許はく奪!?』などの厳しい処罰を予想する声もありましたけど、結局、馬房の削減で落ち着いたみたいです」(競馬関係者)

 また戸田調教師だけではなく、調教師リーディング上位常連である堀宣行調教師も「パワハラ疑惑」で訴えられたことがあるという。『競馬最強の法則』(KKベストセラーズ)によれば、あるスタッフが堀調教師及び数名のスタッフから『パワハラを受けた』と関東労働組合に直訴。後に裁判にまで発展し、堀調教師側が全面的に謝罪、和解金を支払うことになったそうだ。また藤沢和雄厩舎もかつてスタッフからパワハラ疑惑で大きく揉めたことがあったという。