https://news.yahoo.co.jp/articles/b56962ffc21775add41329087a6787cb83e0e34b

日本中央競馬会(JRA)の女性騎手らがイベントで「結婚したら騎手を続けるか」と問われる場面があったと報じられている。

報道によると、12月18日に開かれた中山馬主協会主催の忘年懇親会トークショーで、協会会長が騎手の藤田菜七子さんら女性5人に尋ねた。「自分のことで精いっぱい」「続けたい」「両立は考えられない」などの回答があったという。

トークショーでの一幕とはいえ、もし相手が男性だった場合に「結婚しても騎手続けるの?」と質問することはまずないだろう。

「結婚した女性は仕事を辞めるもの」という価値観に基づく発言ととられかねないが、ハラスメントにはならないのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●「ジェンダーハラスメントに該当しうる
——どのようなハラスメントになり得るのでしょうか。

今回のケースで問題になりうるのは「ジェンダーハラスメント」に該当するか否かでしょう。

ジェンダーハラスメントとは、性別によって社会的役割が異なるという固定化された概念にもとづく嫌がらせや差別のことです。

たとえば、家庭での「男は仕事をして家庭を守れ」「家事は女の仕事だ」、職場での「得意先を接待して帰宅が午前様になるなんて営業担当の男なら当たり前だ」「お茶くみは女の仕事だ」といった固定概念に基づく性的役割分担や、「男らしさ・女らしさ」といった価値観を当然とする思考に基づく行為が当てはまります。

——今回のケースはジェンダーハラスメントに当たるのでしょうか。

「結婚したら騎手を続けるか」という質問は、騎手という己の能力と努力で地位を築く職業であっても、「女性ならば結婚したら引退するのが当然でしょ」あるいは「結婚しても騎手を続ける覚悟ですか」という思考が前提にあっての発言だったと思います。

したがって、質問を向けられた女性騎手らに対するジェンダーハラスメントに該当するといえるでしょう。

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