0484名無氏物語
2018/05/29(火) 04:11:48.62ID:VLfPptJ6Das Ziel des Rechts ist der Friede,das Mittel dazu der Kampf.
法の目的は平和であり、そのための手段は鬪爭である。
イエーリング「權利の爲の鬪爭」
イエーリングは次のやうに問ひかける。すなはち、權利が侵害された場合「權利
を主張して侵害者に抵抗すること、すなはち鬪ふことを選ぶのか、それとも鬪爭
を避ける爲に權利を見捨てるべきか」と。この問ひに對する彼の答へは次の物で
ある。人間は肉體的な生存だけでなく、倫理的なものとしての生存も重要であり
そのための條件が權利の主張、人格の自己主張なのである。それゆゑ、不法な權
利侵害は人格の侵害でもあり、それを見過ごすことは、自己の人格の抛棄、倫理
的自殺に他ならないとして、權利の主張は「權利者の自分自身に對する義務」と
されるのである。さらに、權利の鬪爭は權利者の自分自身に對する義務だけでなく
「國家共同體に對する義務」でもある。
といふのも、權利者は自分の權利を守ることによつて同時に法律を守り、
法律を守ることによつて同時に
「國家共同體の不可缺の秩序」
を守ることに繋がるからである。
「權利のための鬪爭」のなかで彼が強調する點は、國家にとつて、國民の權利感覺
にも揩オて貴重な保護育成すべき寶はなく、それゆゑ、國民の權利感覺の涵養を圖
ることが國民に對する政治ヘ育の最高の、最も重要な課題の一つであるとされる。
このことからまさに「權利のための鬪爭」は「權利の啓蒙書」と評價されてゐるのである。