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シュレーダー氏とロシアの深い関係

さて、実はシュレーダー氏は現在、違った件でもメディアを騒がせている。
こちらの件はゴシップ誌ではなく、普通のメディアだ。

9月28日、シュレーダー氏は、ロシアのロスネフチ社の最高幹部のポストの一つに
就任した。ロスネフチ社は世界最大の石油会社。
一応、株式会社の体裁は取っているが、実質は100%国有だ。
CEOのセーチン氏は、プーチン大統領に次ぐロシア第二の権力者と言われている。

シュレーダー氏のポストは監査役会の会長なので、任務は、CEOのセーチン氏を見張る
ことだ。そのセーチン氏が先日、株主の前で、「シュレーダー氏はドイツ歴代の首相の
中では、モスクワに対する忠誠心が最大」と褒めてくれたという
(9月29日付Die Zeitのオンライン版より)。高く買われているのである。

シュレーダー氏とロシアの深い関係は、しかし、今に始まったことではない。
プーチン大統領とのあいだの「男の友情」は首相当時から有名だった。
それどころか彼はプーチン大統領のことを、「非の打ち所のない
(直訳すると、虫眼鏡で探しても傷のない)民主主義者」とまで言い切っている。

シュレーダー氏にはまた、2005年、首相を辞めたすぐあと、ロシアとドイツの間の
海底パイプラインを作る新会社「ノース・ヨーロピアン・ガス・パイプライン」社の
監査役会理事に就任したという「前科」もある。

ドイツ側でこのパイプライン・プロジェクトを強力に推進したのが
首相時代のシュレーダー氏だったので、この人事には大型収賄の嫌疑がかかった。
しかし、シュレーダー氏は「在任中に決まった話ではない」と切り抜けた。

今回も同じような現象で、
「ついに、金で買われてプーチン政治の下僕に」(緑の党・ビュティコファー)とか、
「道徳的に唾棄すべき行為」(在独ウクライナ大使)とか、批判が喧しい。
メルケル首相も、SPDのシュルツ党首も苦言を呈した。

そもそも、この話がメディアに浮上した9月上旬、EUはウクライナ問題に抗議して、
まだ対ロシアの経済制裁をしていたのだ。しかし、シュレーダー氏本人はというと、
非難などどこ吹く風で、「ドイツ人にとって、ロシアと分別のある関係を結ぶことには
大きな利益がある。私は少しでもその役に立ちたい」と堂々たるものだった。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53117?page=2