在韓米軍に融和ムードなし、不測の事態に備え
北朝鮮には挑発繰り返した過去が
By Jonathan Cheng and Andrew Jeong
2018 年 5 月 13 日 05:18 JST

 【ロドリゲス実弾射撃複合施設(韓国)】韓国と北朝鮮の軍事境界線を挟む
非武装地帯(DMZ)から南に15マイル(約24キロメートル)の地点で在韓米軍の
戦車大隊が、朝鮮半島の緊張緩和が継続しない事態に備え、警戒を解いていない。

 兵士らは先週、激しい雨の中、地雷除去用の鋤(すき)を装備した
エイブラムス戦車を操縦し、軍事境界線の地形と似ているぬかるみを進み、
仮橋を越えてさらに突き進んでいった。

 南へ約100マイルのところには、米国外で最大の軍事施設ハンフリーズ基地がある。
基地内に設置され大型テントが並ぶ一帯では、士官らが戦闘シナリオを
シミュレーションし、非戦闘員の避難訓練の調整に取り組んでいた。

 野外機動訓練「フォール・イーグル」、指揮系統演習「キー・リゾルブ」と呼ばれる
米韓合同の年次軍事演習は先週、終了した。米兵1万2200人、韓国兵1万人が
コンピューター・シミュレーションの戦争ゲームを利用した指揮系統演習を行ったほか、
野外機動訓練には米国から約1万1500人、韓国から29万人の兵士が参加した。

 北朝鮮はこれまで、米韓合同軍事演習は侵略への地ならしだとして批判し、
ミサイルを発射するなどして軍事的な報復に出る構えを見せていた。

 だが今回は状況が一変した。シンガポールで6月12日に開催される
ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による首脳会談を控え、
融和ムードが醸成されつつあり、これまでとは全く異なる雰囲気だ。

 先週、軍事演習が終了したその数日後、北朝鮮は善意のしるしとして、
1年以上拘束していた米国人3人を解放した。

4月27日に行われた歴史的な南北会談を受けて、朝鮮半島の平和への期待が高まった
https://si.wsj.net/public/resources/images/B3-AJ357_USDRIL_M_20180510153728.jpg