トランプ氏の姿勢、北朝鮮とイランで異なる背景
By Gerald F. Seib
2018 年 5 月 15 日 10:43 JST

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJチーフコメンテーター

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 国家安全保障政策が単純または簡単だと言った人は誰もいない。
それを証明しているのが、北朝鮮とイランに対する米国の現在の見解だ。

 現在、ドナルド・トランプ米大統領は北朝鮮をほめている。その北朝鮮は、
核兵器を開発し、米国に対してそれを使うと脅し、国際的な合意を何度も破ってきた。

 一方でトランプ氏は、米国の強い外交・経済圧力をイランにかけた。
そのイランは核兵器を持たず、米国に核兵器を使うと脅したことはない上、
締結した国際合意を守って核開発を抑制してきたことは衆目の一致するところだ。

 トランプ氏は北朝鮮との核合意を目指している。イランとの核合意は捨てたばかりだ。

 なぜ違うのか。筋が通らないように思える。

 トランプ氏は明らかに、イラン核合意に致命的な欠陥を認めており、
それより優れた合意を北朝鮮と結べると見込んでいる。

 だがトランプ氏はそれにとどまらず、大きな姿勢の変化を北朝鮮に促そうとしている。
イランにはその兆しを見いだせなかったようだ。
今のところ、米政府も北朝鮮政府も来月のトランプ氏と金正恩氏の首脳会談を
生産的なものにすべくお膳立てに努めており、そのこと自体は有望な兆しだ。