北朝鮮の武装解除、最初の関門は現状把握
By Jonathan Cheng
2018 年 6 月 9 日 00:45 JST

 【シンガポール】北朝鮮の武装解除で一番難しいのは、出発点を把握することかも
しれない。

 米国の専門家らは、北朝鮮が16〜60発の核兵器を作れるだけの核分裂性物質を保有し、
既に10〜20発を完成させている公算が大きいとみる。米議会調査局(CRS)によると、
北朝鮮の軍隊が所有するミサイルは70発に上る可能性がある。
確かなことはほとんど分かっていない。
神経ガス「VX」を含む化学・生物兵器に至っては、さらに深い闇に包まれている。

 しかも、これらが山地の多い北朝鮮国内に分散して隠されている。

 米国は北朝鮮の完全で検証可能かつ不可逆的な非核化を目指し、
これを米朝首脳会談の究極的な目標としている。ドナルド・トランプ米大統領と
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は12日、シンガポールで会談する予定。

 米朝首脳会談で何らかの合意が得られ、武装解除のプロセスがきちんと行われているか
確かめていく上では、そもそも北朝鮮がどのような武器をいくつ保有しているか
突き止めなければならない。
ミサイル、弾頭、核分裂性物質、兵器の製造・研究拠点をくまなく網羅する必要がある。

 これは簡単な仕事ではない。2月に米国務省の北朝鮮担当特別代表から退いた
ジョセフ・ユン氏の話では、1994年や2000年代半ばの協議で
北朝鮮がリストアップをかたくなに拒否し、話し合いが決裂する決定的な要因となった。
保有兵器の全容把握は最初の1歩として極めて重要だという。