西田幾多郎、日露戦争のときの日記から

午後打座。正午公園にて旅順陥落祝賀会あり、万歳の声聞こゆ。今夜は祝賀の提灯行列を為すと言うが、幾多の犠牲と前途の遼遠なるを思わず、かかる馬鹿騒ぎを為すとは、人心は浮薄なるものなり。夜、打座。雨中にも関せず、外は賑わし。(明治38年1月5日)