北朝鮮、核施設の整備加速か 米朝の非核化合意後に
施設解体の兆候は見られず
By Jonathan Cheng
2018 年 6 月 28 日 10:05 JST

 【ソウル】米朝首脳会談で非核化に合意した北朝鮮が、核研究施設を急速に整備して
いる可能性があることが分かった。衛星がとらえ新たな画像の分析から判明した。

 衛星画像を分析したのは、米ワシントンのシンクタンク、スティムソン・センター
傘下の北朝鮮分析サイト「38ノース」。ここ数週間のうちにプルトニウム生産炉の
冷却システムが改修された痕跡があり、冷却タワーの近くに新たな建築物が
建てられたことなどが分かった。リポートによれば、実験用軽水炉近くにも
新たな建築物が建てられたような形跡が確認できた。

 衛星画像はドナルド・トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長がシンガポールで
米朝首脳会談を開催した9日後の21日に撮影された。これらを見る限り、
北朝鮮の主要な核研究施設で非核化に向けた早急な動きは確認できなかったという。

 今月12日に正恩氏と握手を交わしたトランプ氏はその直後、
正恩氏は帰国次第、それぞれ北朝鮮の核開発プログラム解体に着手するだろうと発言。
トランプ氏は記者団に対し、「実際もう間もなくだと思うが、
飛行機が着陸した直後から、彼はそのプロセスに取りかかるだろう」と述べていた。

 トランプ氏は21日に開かれた閣議でも「北朝鮮の完全な非核化に向けた行動を
直ちに開始する」ことに米朝が合意したと話していた。

 だが両首脳が署名した合意文書には、北朝鮮が
「朝鮮半島の完全な非核化に向けた取り組みにコミット」するとしか記されていない。

 トランプ氏は北朝鮮の非核化には数年かかる可能性もあると述べたが、13日の
帰国後には「北朝鮮からの核の脅威はもう存在しない」とツイッターに投稿していた。

 38ノースのリポートは、エアバス・ディフェンス・アンド・スペースが
撮影した寧辺核施設の衛星画像を分析したもの。
実験用軽水炉の稼働に必要なインフラは「外から見た限りでは完成している」という。

 ただし軽水炉が稼働しているかどうかは確認できなかったとリポートはしている。

https://jp.wsj.com/articles/SB11143088422271483740704584313403164195092

北朝鮮が核研究施設を急速に整備している可能性があることが衛星画像で判明
https://si.wsj.net/public/resources/images/B3-AY410_0627nk_J_20180627074303.jpg