歩兵の一個中隊には機関銃が四挺あるわけだが、安岡章太郎氏のお話では、そのうち三挺が作動することはまず皆無に近かったそうである。
機関銃が動かなくなっては、近代戦ではもうどうにもならない。
安岡氏は「軽機の名射手とは、射撃のうまい人間を言うのじゃなくて、修理のうまい人間を言うんだ」と言って笑っておられた。
砲兵の恐怖は、不良信管による腔発事故で、運悪く不良信管にあたれば、砲側の全員がほぼ確実に死んだ。

山本七平『ある異常体験者の偏見』