テレビでほとんど姿を見なくなった99年頃、ケント氏はマルチ商法にまで関わっていた。

このマルチ商法は「レクソール・ショーケース」。サプリなどの健康食品や化粧品など主力商品とし、ディストリビューターと呼ばれる
会員販売員を構成、あらたに勧誘することで、売上からボーナスをバックしていくというアメリカの連鎖販売取引企業だ。

ケント氏はこの会社の日本進出に際して広告塔を務めていたのである。たとえば、99年には『ケント・ギルバートの「レクソール始めませんか!」』
『ケント・ギルバートが贈る「レクソール・ビジネストレーニング」』(ともにイーハトーブ出版)という“勧誘本”に出演して、同社の製品や
マルチの仕組みを大絶賛している。また、書籍だけでなく、レクソールの販促ビデオにも関与しているが、これまた「なぜ私がレクソールを始めたのか」
「ディストリビューター体験談集」など、タイトルからして怪しさが漂う代物だった。

ケント氏は最近も、ビジネス上のトラブルに巻き込まれている。氏は05年から「ヴィ・ネットワーク・システムズ」というベンチャー企業の経営に参画し、
09年に社長に就任したのだが、その後すぐに、知人から紹介されたという人物を後継指名。ところが、2012年、この新社長が1億円以上という
巨額の横領事件を起こし、逮捕されたのだ。

ネトウヨ文化人として復活してからは、日本人の「誠実」「謙虚さ」を賞賛し、「健全な愛国心とともに必要不可欠なのが、道徳心」などと説教を
ぶっているケント氏だが、これまでのビジネス人生はその主張とはそぐわないものだったというべきだろう。頭の中にあるのは常に、金儲け。
マルチ商法にまで乗っかるその姿勢は、無節操としかいいようのないものだ。