(既に損害が填補されていること)

 本件は不法行為に基づく損害賠償請求訴訟であり、つまり、損害賠償は被害者に生じた損害の填補を目的とするものである。
 しかし、原告らは、多数の懲戒請求人らに対し、訴訟前の和解を打診する手紙を送付しており、平成30年5月14日時点で「複数の方から当事務所宛てに和解のご連絡がきて」いる状態であった。
神原元は「訴訟前に和解が成立した方を除き、最終的には請求者全員に裁判所までお越し頂きたい」と公言している。

 「複数の方から和解のご連絡がきて」「訴訟前に和解が成立した方」がいるのであれば、既にその方々から損害は填補され、もはや請求する賠償金は無いはずである。

 原告らは訴状で、「本件懲戒請求に対応するため、弁明書の作成等の反証活動に時間と労力を費やさざるを得ない立場に置かれたのであり、これによる精神的苦痛」などと主張している。
 しかし本件懲戒請求は他の多数の請求人からの懲戒請求と一緒に一括で処理され、そこで原告らが為した弁明活動は、懲戒請求書に具体的な懲戒事由の記載が無い旨を言うだけの、ほんの数行のものに過ぎない。