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●議論の本質は「ジャーナリズム」にあり

KBSに寄せられた「無礼」「腹が立つ」という表現から分かるように、ソン記者に
批判を寄せたのは主に、文大統領の支持者たちだ。攻撃的な態度に、本来なら祝うべき
せっかくの就任2周年がないがしろにされたという印象を抱いたのだろう。

だが、今回の騒動の本質はそういった「支持者たちの暴走」ではない点に留意したい。
もっと深いジャーナリズムの観点から、重要な問題を提起している。
それは「権力」にどう相対するのかという視座だ。
ソン記者への個人攻撃と、公益の視点からなされる批判を分けて考える必要がある。

ソン記者を批判する人々がSNSに掲げ、共感を寄せた一枚の写真がある。2017年1月1日、
いわゆる「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」、つまり自身と最側近の崔氏による
権力濫用事件により市民からの退陣要求に直面した上に、前年12月9日に
国会で弾劾決議案が可決されたことで職務停止となっていた朴槿恵大統領が、
青瓦台に記者を集め説明している場面を捉えたものだ。

当時、録音やPCの持ち込みも禁止された記者会見の場で、
両手を前に揃え神妙に朴大統領の声に耳を傾ける記者の姿からは、
権力を批判するジャーナリズム本来の姿は見当たらない。
実際にこの日、弁明に終始する朴大統領に対する厳しい指摘はついぞ聞かれなかった。

そしてこの場には、今回インタビューを行った「公営放送」KBSも含まれていた
(ソン記者ではない)。そして何より、KBSは李明博・朴槿恵と続く保守政権の間、
政権の手足となって権力を擁護する側に回った「前科」がある。記者(韓国語でキジャ)とゴ
ミ(同スレギ)を組み合わせた「キレギ(マスゴミ)」という造語も広まった。

政治介入に抗う韓国の公営放送…MBCは「勝利」もKBSはハンストに突入
https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20171211-00079188/