ついに「在韓米軍」撤収の号砲が鳴る 米国が北朝鮮を先行攻撃できる体制は整った
2019年6月7日掲載

「在韓米軍撤収」の号砲が鳴った。米軍人やその家族が半島から引き上げれば、
米国は心おきなく北朝鮮を先制攻撃できる。(鈴置高史/韓国観察者)


司令部も家族も「ソウル脱出」

 米国のシャナハン国防長官代行は6月3日、韓国で鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)
国防部長官と、米韓連合司令部をソウルから南方の京畿道・平沢(ピョンテク)の
米軍基地キャンプ・ハンフリーに移転することで合意した。

 これにより、米軍の司令部や第1線部隊はソウル市内を流れる漢江の北から
ほぼ姿を消す。移転先のキャンプ・ハンフリーには国連軍司令部や在韓米軍司令部、
歩兵2個旅団などが集結済みだ。

 ソウルの北の京畿道・東豆川(キョンギド・トンドゥチョン)には
米砲兵旅団が駐屯するものの、
いずれ兵器を韓国軍に引き渡して兵員は米本土に撤収する計画と報じられている。

 米韓同盟に自動介入条項はない。北朝鮮軍が侵攻してきた場合、米地上部隊と
兵火を交えない限り米国は本格的な軍事介入をためらう、と韓国人は恐れてきた。

 ことにイラク戦争以降、被害の大きい地上部隊の投入を米国は極度に嫌うようになった。
防衛線となる漢江以北から米軍人とその家族が姿を消せば、北朝鮮の「奇襲攻撃で
ソウルの北半分を占領したうえ、韓国と停戦する」との作戦が現実味を帯びる。

 保守系紙、朝鮮日報は「韓米連合司令部が平沢に、米軍の仕掛け線は南下」(6月4日、
韓国語版)で、朴元坤(パク・ウォンゴン)韓東大教授の談話を紹介した。以下である。

《平沢基地に行くというのは結局、米国は(軍事介入の引き金となる)仕掛け線たる
陸軍を引き抜き、有事の際も空・海軍依存の「適当な」支援をする、ということだ》

 同じ6月3日、ソウルの米軍基地内にあった米国人学校が閉校し60年の歴史を終えた。
在校生は今後、キャンプ・ハンフリー内の米国人学校などで学ぶことになる。