>>432

 簡潔な記述ではあるが、北朝鮮当局による日本人拉致事件を「完全に解決せよ」とする
日本側の主張を米国政府は支援し続ける、という明確な政策表明だった。

 日本人拉致事件に関して、これまで米国のトランプ政権は事件の解決に向けて
日本を支援する意図を表明してきた。大統領自身が国連演説でその事件の悲劇と
早期の解決を求めたほか、金正恩委員長との2回の米朝首脳会談でも、合計3回にわたり
日本人拉致事件に言及し、その早期の一括解決を要求したという経緯がある。

 これまで米国の歴代政権が政策表明の公式文書に日本人拉致事件解決への支援を
明記することはなかった。しかし、トランプ政権は初めて明記することとなった。

 米国政府の日本人拉致問題への対応に精通している日本側の「救う会」の副会長の
島田洋一氏は、「米側の支援が政府の政策文書にきちんと書かれた例は、私の知る限り
初めてだ。とくに米国政権全体のアジア太平洋地域への安全保障政策の表明という
重要な文書に明記されたことは、トランプ政権の東アジア政策の一部に日本人拉致事件
解決を位置づけたことの熱意と真剣さを表わす指針として重視したい」と述べた。

 トランプ政権は北朝鮮に完全な非核化を求めている。そうした基本政策の一部に、
日本人拉致問題の完全解決を盛り込んでいるという姿勢が明示された。
北朝鮮側にとっては、日本人拉致の解決を対米交渉での議題として受け止めざるをえない
状況が生まれたともいえる。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56685?page=2