【コラム】韓国は今も「生存のための水泳」を教えていない
2019年06月17日14時54分 中央日報/中央日報日本語版

深い水に落ちた状況を想像してみよう。
釣り船が転覆したり旅客船が座礁したりして船から飛び降りなければならない状況や、
川に転落したバスから窓の外に脱出するような状況に陥ることがあるかもしれない。
水泳で浜辺や川岸まで移動するのが難しいと判断したら、
水面に浮いて体力を温存することが命を守る道となる。
水泳が上手な人でもできるだけ体力を消耗せずに水面に長く浮いていることが
生存の可能性を高める方法だ。プールでの水泳と海・川での水泳は次元が違う。

溺死の危険に直面した場合の身体状態は大きく分けて2種類だ。
ライフジャケットを着た場合とそうでない場合だ。
最近起きたハンガリー遊覧船事故の犠牲者はライフジャケットを着用する間もなく被害に遭った。
前述のバス墜落事故のような場合なら、ライフジャケットなど考えすら及ばないだろう。
増水した渓谷の水に巻き込まれたり、岩から足を滑らせて川に落ちたりした場合も同じだ。

それなら「生存水泳」教育はライフジャケットを着た場合とそうではない場合を
すべて想定したものでなければならない。ライフジャケットを着ていれば水面に浮いて
救助の確率が高まるので、ここで必要なことはライフジャケットを着用することが
できなかった場合に備えた教育だ。それでこそ生存の可能性を高めることができる。
極めて常識的な話だ。その上、突然水に落ちた人はほとんどが普段着姿だ。
水着を着てゴーグルを付けている人ではない。それならジーンズとジャンパーを着て
靴も履いた状態で水に落ちた場合、どのようにするべきかを教えなければならない。
これこそが真の生存法教育だ。

2014年のセウォル号惨事の後、韓国では生存水泳教育が導入された。
小学校3・4年の児童に年に2時間ずつ2回、すなわち年間4時間プールで教育する。
そして教育当局は「生存水泳教育を実施している」と言う。両親は「子どもが学校で
生存水泳を学んだ」と言う。果たして本当に教えて、学んだのだろうか。