>>514

再び脅し始めたトランプ

――でも今や、トランプ大統領は金正恩委員長を恋人扱いしています。

鈴置: 金正恩委員長への罵倒をやめ、「恋人扱い」するのは委員長を懐柔するために
過ぎません。米国内の世論対策からでもあります。「核を持つ狂信的な集団のリーダーを
大統領が口汚くののしれば、核戦争を誘発しかねない」との批判が米国にはあります。

 トランプ政権の中枢部の1人は「そうした批判に配慮し、大統領の発言をマイルドな
表現に変えた」と福井県立大学の島田洋一教授に説明したそうです。島田教授は
「日本でボルトン(John Bolton)大統領補佐官に最も近い」と言われる人です。

 その「金正恩委員長に優しい」トランプ大統領が最近、微妙に発言を変えています。
6月12日の会見です。

 多くのメディアはトランプ大統領が米朝首脳会談の開催に関し
「急がない」と語った部分に注目し、見出しをとりました。
確かにそう述べています。ただ、こうも述べたのです。

・私が大統領に就任した時「北朝鮮との戦争になりかけている」と言ったものだ。
それは恐ろしく無慈悲なものになっただろう。我々は世界で一番強い力なのだ。

 あからさまに武力で威嚇したのです。「恋人」に対する態度ではありません。
2018年6月の米朝首脳会談以降、初めての威嚇です。