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「米軍撤収」なら大満足

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 現在の争点を巡り米国が譲歩したのではないとすると、
別の次元で金正恩委員長が「満足」するようなアメを米国が示したことになる。

 もっともありそうな「アメ」が「在韓米軍の一部撤収」だ。
図表「在韓米軍撤収を巡る動き」が示すように米国は、
少なくとも陸軍はいつでも撤収できる準備を進めている
(「米軍は韓国からいつ撤収? 北朝鮮を先制攻撃する可能性は? 読者の疑問に答える」参照)。

 これなら金正恩委員長は「それなりに満足」であろう。
軍事的な脅威が大幅に低下するという実利。さらには、非核化に動く名分にもなる。
委員長は国内で面子を保ちながら譲歩できるのだ。

 ただ、その決断は軍との調整が必要だ。だから「慎重に考える」の表現により、
少々時間がかかると表明したのではないだろうか。

 トランプ大統領の示した交換条件は「一部撤収」ではなく
「全面撤収」あるいは「米韓同盟廃棄」を示唆するものだったかもしれない。
それなら金正恩委員長は「大満足」であろう。

 あるいは6月10日に、そうした踏み込んだ提案を北朝鮮側がトランプ大統領に送った
親書で打ち出していて、米国側の返答の親書が肯定的に受け入れた可能性もある。

 いずれにせよトランプ親書が「米韓同盟廃棄」につながる大胆な内容だったからこそ、
「トランプ大統領の政治的判断能力と並々ならぬ勇気」と、金正恩委員長が称えたのではないか。

 もっとも、北朝鮮が核を完全に手放すかは怪しい。
何とかして「こっそり保有」できないか、画策することになりそうだが。