>>812

これが「事実上の対抗措置」と言える内容なのか

 今回の措置の背景に、対韓強硬の声があるのは事実だろう。
韓国人元徴用工の訴訟問題を巡る韓国の対応に、
韓国への強硬措置を求める声が自民党内や官邸内で高まっていた。
事態打開のために対抗措置を模索していたのも事実である。そうした中で、
打ち出された措置を「事実上の対抗措置」と受け止めるのも自然な成り行きだ。

 しかし中国によるレアアースの禁輸措置と同列に論じるのは的外れだ。
日本は法治国家だ。政治的な道具として法律運用を自由に利用できるものではない。

 報道の中には個別許可について、
「基本的に輸出を許可しない方針で、事実上の禁輸措置」だとするものもある。
しかし、法治国家としてこうした恣意的運用はあり得ず、明らかに間違いだ。
仮にそうした運用をすれば、国が輸出者から訴えられたら負けるのは明らかである。
韓国への対抗措置を強く求める立場からは、そうした運用を強く期待したいのは
分からないでもないが、法制度としては無理がある。
それにもかかわらず、そうした声に引きずられて報道するのはいただけない。