ハイテク業界ナショナリズムの波、日韓にも
By Eun-Young Jeong and Mayumi Negishi
2019 年 7 月 4 日 13:33 JST 更新

 日本が韓国への半導体材料などの輸出規制に踏み切ったのを受け、韓国は内製化を
進めている。ハイテク業界のナショナリスト的シフトを示す最新の兆しだ。

 韓国側は3日、ハイテク部品の生産に使う素材や装置に対する年間1兆ウォン
(約920億円)の投資を検討していることを明らかにした。日本が今週、半導体や
ディスプレーパネル製造用の素材3品目に対する輸出規制を発表したことを受けた動きだ。

 日本が輸出を規制するのは、スマートフォンのディスプレーに使われる
フッ化ポリイミド、半導体製造用フォトレジスト(感光材)や高純度フッ化水素。
高純度フッ化水素はシリコンの薄膜に回路を焼き付けて半導体を形成する際に
エッチングガスとして使われる。

 韓国の成允模・産業通商資源相は「政府は主要産業に欠かせない素材など多くの分野で
輸入先を分散し、国内生産能力を強化するといった支援をする意向だ」と述べた。

 日本は4日から対象3品目の輸出に政府の承認を義務付ける。
審査には90日かかる可能性がある。これまで韓国は、米国やオーストラリア、
欧州の多くの国と同様にこのプロセスを免除されていた。

 韓国は、第三国に出荷されれば核兵器や化学兵器に使われかねない工作機械や
真空ポンプといった品目についても、優遇を失う可能性がある。

 日本政府はもはや韓国を信用できないと述べ、
日本企業に元徴用工への賠償を命じた韓国裁判所の判決を理由に挙げた。

 日本の規制で影響を受けるとみられるメモリーチップ世界大手のサムスン電子および
SKハイニックスにとって、韓国政府の投資は即効薬にはならないだろう。
しかし、長期的には、主要素材の代替調達先を両社に提供するかもしれない。

 両社の広報担当者はコメントを控えた。