徴用工、譲れない文政権 背景に韓国国民の政治意識や内政問題
西日本新聞 7/8(月) 10:40配信

 韓国最高裁が昨年10月、日本企業に元徴用工への賠償を命じた判決を巡る問題で、
日本政府が事実上の対抗措置に踏み切ったことから、日韓の対立が先鋭化している。
文在寅政権は一貫して「行政府は司法府の判断を尊重しなければならない」と強調。
1965年の日韓請求権協定で賠償問題は解決済みとする日本の主張には
直接反論しない姿勢を取る。日本側には理解しがたい文政権の対応の背景には、
韓国国民の政治意識や内政問題が複雑に絡む。

当為と法治

 「韓国人は『現状に問題があるならば、過去のルールにとらわれず、改善すべきだ』
との意識が、日本人よりも強い」。ソウル出身で知日派の政治経済学者
ロー・ダニエル氏は、韓国人の政治意識を「当為主義的だ」と分析する。

 当為とは、倫理的な概念で「あるべきこと」「なすべきこと」を意味する。
ロー氏によると、韓国人は「あるべき理想」に現実を近づけるため、
法や条約を改変することに日本人より抵抗感が小さい。

 文氏が徴用工問題について「韓日協定(日韓請求権協定)があったとしても、
(中略)被害者の苦痛がいまだ残る事実を受け入れなければならない」と主張するのも、
当為主義的な考え方が反映しているという。

 対照的に日本人は「利益が相反する問題解決の手段としてルールや合意を重視する
法治主義的な意識が強い」とロー氏は見る。だからこそ日本側は日韓請求権協定に
矛盾するような韓国側の対応に「信頼関係が著しく損なわれた」(安倍晋三首相)と
強く反発した。

 首相は今回の措置を世界貿易機関(WTO)協定に違反しないと強調する。
だが議長国を務めた20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で、
首相は「自由貿易の基本的原則を確認できた」と胸を張っただけに、
ちぐはぐな印象は拭えない。
国内でも輸出規制の対象となった部材や装置の内製化が韓国で進んだり、
韓国企業の設備投資が低迷したりして受注が減少する恐れに懸念の声が上がる。

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