蟻地獄に堕ちた韓国経済、「日本と通貨スワップを結ぼう」と言い出したご都合主義
2019年5月21日掲載

 韓国で「日本からドルを借りればいい」との声が上がる。
ウォン安が止まらず、通貨危機に陥る懸念が高まったからだ。
日本は今回も韓国を助けるのだろうか――。(鈴置高史/韓国観察者)


5月の上・中旬の貿易は赤字

 5月21日の韓国外為市場は1ドル=1190ウォン台前半でもみ合い結局、
前日比0・20ウォン高の1194・00ウォンで引けた。

 韓国通貨当局は防衛ラインを1ドル=1200ウォンに敷いていると見なされている。
これを超えると、ウォン売りが雪崩を打ちかねないと市場は見ている。
ウォンは今、「危険水域」を目前に、ふらつく毎日だ。

 5月20日に洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官が
「金融市場に行き過ぎた偏りがあれば適切な措置を通じ、市場の安定を維持していく」と
口先介入したことがウォン売りを抑えた。

 半面、5月21日発表の5月上・中旬の通関統計はウォン売りの材料を提供した。
5月1〜20日の輸出は前年同期比11・7%減の257億2000万ドルと低迷したからだ。

 輸出の2割を占めてきた半導体が同33・0%減と不振だったことが響いた。
仕向け地別でも、25%前後を担ってきた中国向けが15・9%減少したのが足を引っ張った。

 輸入は同0・1%減の276億6000万ドルで、貿易収支は19億6000万ドルの赤字だった。

 1月1日から5月20日まで累計の輸出は同7・5%減の2072億1000万ドル。
一方、輸入は同3・9%減の1959億4000万ドル。貿易黒字は112億7000万ドルに
留まっており、2018年1年間の700億ドルにはるかに及ばない。

 韓国は貿易赤字に陥ったり黒字が急減した際に、通貨危機を起してきた
(デイリー新潮「韓国、輸出急減で通貨危機の足音 日米に見放されたらジ・エンド」参照)。