新型肺炎発の韓国の通貨危機 米国の助けも不発で日本にスワップ要求…23年前のデジャブ 
鈴置高史 2020年3月24日掲載

「韓国売り」が止まらない。米国との為替スワップも効果がなかった。
新型肺炎を引き金に1997年の国家破たんが再現するのか――。
韓国観察者の鈴置高史氏が隣国の通貨危機を読み解く。


為替も株も底なし沼

https://www.dailyshincho.com/wp-content/uploads/2020/03/2003241432_2-714x425.jpg

鈴置:3月23日のソウル外為市場は前週末比20・00ウォン安の1ドル=1266・50ウォンで引けました。

 3月19日に米FRB(連邦準備理事会)が韓国を含む9カ国の中央銀行と為替スワップ協定
を結ぶと発表したのを受け、3月20日は1日で39・20ウォンもウォン高に振れました。
韓国紙には安堵の声があふれました。
しかし1営業日後の23日には、再びウォンは売られる展開に戻りました。

 新型肺炎による経済悪化を懸念して始まった激しい「韓国売り」は、米国との
期間6カ月、規模は600億ドルのスワップをもってしても食い止められなかったのです。

 3月24日は16・95ウォン高の1249・55ウォンで引けましたが、
「ウォン売り」の空気が市場から払しょくされたわけではありません。

 なお、FRBのサイトはこのスワップを「liquidity arrangements (swap lines) =
為替スワップ」と表記していますが、韓国銀行のサイトは
「bilateral currency swap arrangement=通貨スワップ」と書いています。

 通貨スワップなら韓銀のウォン買いにも使えますが、
為替スワップだと韓国の市中銀行へのドル供給に用途が限られます。

 両者の違いに関しては、匿名の国際金融専門家が主宰するサイト
「新宿会計士の政治経済評論」の
「韓銀、為替スワップを通貨スワップと意図的に誤記か?」(3月23日)
が詳しく解説しています。