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「徴用工」もいずれは仲間割れ

――韓国は「徴用工」でも日本を揺さぶっています。

鈴置:2018年10月、韓国の最高裁判所は自称・元徴用工の4人に対し1人当たり1億ウォン
(約910万円)の慰謝料を支払うよう、新日鉄住金(現・日本製鉄)に命じました。

 新日鉄住金が応じなかったので、原告側は同社が韓国の鉄鋼最大手ポスコと合弁で
設立したリサイクル企業「PNR」の株式約19万4000株を差し押さえました。

 今年6月3日に、この株式を現金化する司法手続きに韓国の裁判所が踏み切ったことが
明らかになりました。
同日、茂木敏充外相は「現金化されたら深刻な事態になる」と懸念を表明しました。

 菅義偉官房長官も翌6月4日の記者会見で「司法手続きは明確な国際法違反だ。
あらゆる選択肢を視野に入れて、毅然と対応していきたい」と述べました。
日本政府は報復も辞さない構えです。

 韓国の通信社、NEWSISは「冷え切った韓日、気が気でない半導体業界…追加措置の
可能性に『緊張』」(6月7日、韓国語)で、現金化すれば日本が半導体素材の輸出規制を
さらに強化するだろうと、恐怖感を露わにしました。

――現金化は進みますか?

鈴置:敢えて進めない可能性が高い。訴訟を担当した弁護団の真の狙いは、
日本の政府や企業にカネを出させ「徴用工財団」を作って
原告以外の自称・元徴用工にも賠償金を配ることにあると見られています。

「現金化」は財団作りのための脅しの手段に過ぎません。
今、本当に現金化してしまったら、日本をさらに怒らせ財団など吹っ飛んでしまいます。
ただ、自称・元徴用工やその遺族は早く賠償金が欲しい。
原告と弁護団の間で内輪もめが起こるかもしれません。

 これもあって「絶対に放っておくべきだ」と言う日本の専門家がいます。
「いずれ、慰安婦グループのように内部分裂する。それを待てばよい」からです。

https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06081631/?all=1