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最高裁判決は日本をはめる罠

――4人の自称・徴用工に賠償金を支払って「財団」を阻止する手はありませんか?

鈴置:韓国最高裁の判決は日本に仕掛けた罠です。慰謝料を支払えとの根拠は
「不当な植民地支配に対する精神的苦痛」。「給料を支払っていないから」
ではないのです。ここを勘違いしている人が日本にも韓国にも実に多い。

 この4人に慰謝料を支払えば「日本側が植民地支配は不法だったと認めた」
ことになります。すると「当時、植民地支配により精神的苦痛を受けた朝鮮人と、
その子孫すべてが慰謝料を受け取る権利がある」との理屈が成立します。
韓国の個人から慰謝料請求が相次ぐのは間違いありません。

 韓国だけではありません。「待っていました」と出てくるのが北朝鮮です。
北朝鮮は国連制裁で外貨獲得の道を閉ざされている。日本と国交正常化して賠償金を
取り立てる作戦も、日本人拉致の発覚や核・ミサイル開発で頓挫した。しかし、個人の
慰謝料という形でなら日本からカネを取り立てられると皮算用していることでしょう。

 韓国にとっては歴史改竄のチャンスでもあります。
「我が国は植民地になったことはない」と韓国人は言い出しています。
でも世界からは相手にされない。35年間も日本が支配したのは事実だし当時、
列強も日本による植民地化を認めていたからです。

「徴用工」裁判はそれを一挙に逆転する必殺技です。植民地支配は不法だったと
日本に認めさせた後、韓国人は世界に向かって「我が国が植民地だったことはない。
日本が不法占拠したことはあったが、その不法性を今や日本が認めたからだ」
と叫ぶつもりでしょう。