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TSMCは米国側に立った

――なぜ今、要求してきたのでしょうか。

鈴置:形式的には韓国政府が輸出管理体制を一応、整えたためですが、
本質は米中覇権争いの激化にあると思われます。

 韓国を中国寄りと見なせば、米国がフォトレジストなど半導体素材の対韓輸出を
日本に禁じる可能性が出てきました。
その前に韓国は日本を抱き込んで糧道(りょうどう)を確保する作戦でしょう。

 米国政府は中国の華為技術(ファーウェイ)をいじめ殺すつもりです。
同社は次世代通信規格、5Gの旗手。
技術覇権を維持したい米国にとってもっとも目障りな会社です。

 華為の基地局やスマホは米国内で売らせず、同盟国にもそれを要求しました。
さらに華為に対し技術や、半導体などの中核部品を売らないよう、
同盟国や企業を説いています。

 動向が注目されたのは、世界最高の微細加工技術と豊富な生産能力を持つ
台湾のTSMC(台湾積体電路製造)です。
同社は華為にシステム半導体――電子製品の主要な回路を載せた半導体を
一手に供給してきましたが最近ついに、米国の要請を受け入れました。

 日経新聞が「TSMCが新規受注停止 ファーウェイ、スマホ生産打撃」(5月19日)で
報じました。この記事によると、TSMCは2020年9月半ば以降、華為への供給を止めるようです。

https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06081631/?all=1&;page=2