【社説】対韓輸出規制 見直しの機会を生かせ
2020年6月4日 07時38分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/33204?rct=editorial

 日本の韓国に対する輸出規制強化をめぐり、両国の対立が再燃する気配を見せている。
コロナ禍で経済の世界的落ち込みが予想される中、貿易制限は避けるべきだ。
今が見直しの好機ではないか。

 韓国政府が世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きを再開したのは、
日本政府が昨年七月に発表した措置に対するものだ。

 日本政府は韓国の貿易管理の体制が不十分として、半導体の原材料などの
韓国向け輸出を厳しくし、韓国を輸出手続きの優遇措置の対象からも除外した。

 韓国政府は、指摘を受け入れ改善したとして、
日本政府に対して先月末までに姿勢を明らかにするよう求めていた。
紛争がWTOに持ち込まれれば、対立の長期化は避けられない。 

 そもそも輸出管理強化は、日韓間で対立していた元徴用工問題を巡って、
日本側が対抗措置として発表したものだ。

 歴史問題に経済を絡めたことは適切とは言えず、日本国内からも強い批判が起きた。
しかし、韓国政府も元徴用工問題を放置したままだ。
解決するための具体案を出してほしい。それが、輸出規制問題を解決する早道にもなる。