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最低でもTOEIC980点以上

 仁川国際空港公社では書類審査と筆記試験、それに面接と身体検査を通じて
最終合格者を選抜するのだが、最近ではTOEIC980点以上、それに各種の“資格”を持つ
高スペック名門大学の卒業生でなければ、書類審査すら通過できないのだ。

 さらに、筆記試験の難易度は5級公務員試験(9級が最下位で、5級からは高級公務員。
日本で言う「キャリア公務員」である)ほどで、面接もロールプレイング面接、討論面接、
英語面接、実務面接など4段階を経る必要があり、その途中には論述試験まで行われる。

 そんな狭き門をくぐり、晴れて仁川国際空港公社の正規職員になれば1年目から年収は
約4600万ウォンと韓国のエリート企業・サムスン電子と同程度の待遇が約束されるのだ。

 これまで数多くの学生が“正規労働者”として入社したいと焦がれ、
散っていった人気の就職先の非正規労働者が突如、何の理由もなく正規職員に格上げ
されるというのだから、学生たちが怒り狂うのも、もっともであろう。

 現在、インターネット上のコミュニティサイトでは、
そんな若者たちの怒りが次々と書き込まれているのだという。例えば、ある青年は、

「仁川国際空港公社に入社するため、TOEIC試験を10回受けた。
TOEICスピーキング試験も8回受けた。
採用の筆記試験のために1日14時間ずつ、眠気に耐えながら勉強をした。
毎日苦しくて泣きたいほどだったが、それでも我慢した。
必ず合格するという一念だけで……。
ところが、私のこのような努力が無駄なものになった。
“これが大韓民国で起こっている事実”という現実に生きるのが嫌になった。
初めて父の前で泣いた。心が壊れてしまった」