https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25375?page=2
中国からは「御しやすい相手」に
 さらにトランプ氏個人の対中姿勢は、こうした〝微笑外交〟だけにとどまらなかった。

 19年6月、大阪での主要20カ国・地域首脳会議(G-20サミット)の際に行われた米中首脳会談では、
トランプ氏は両国間の重要懸案そっちのけで、もっぱら20年米大統領選への展望に話題を割き、自らの再選のための「手助け」を習近平氏に依頼。
その見返りとして中国側に対し、米政府として中国の新疆ウイグル自治区における人権抑圧問題などに対する批判を控えることを約束していた。
この驚くべき事実は、会談に同席していたジョン・ボルトン大統領補佐官(当時)の回想録で明らかにされている。

 ボルトン氏は具体的に著書の中で「大統領は、中国の購買力が莫大であることを理由に、
習近平主席に対し『自分が来年の選挙で再選を果たすために、(票田である)米中西部の大豆や麦を買い付けてもらいたい』と直訴すると同時に、
大統領は中国政府が新疆ウイグル自治区内に反政府分子を収容するキャンプ建設を計画していることについては、『誠に当を得た措置であり、
計画を推進すべきだ』として同調の姿勢さえ見せた」などと暴露している。

 まさに、中国に対する恥知らずの〝おねだり外交〟ともいうべきものだったのだ。

 その結果、トランプ政権は中国政府から「御しやすい相手」と見くびられるに至った。