女はおれを見て、ニッと笑う。やっぱり何を考えているのかよくわからない奴だった。
ラジオのスイッチを入れると、ちょうどDJがストーンズの新曲をかけるところだった。
<LOVE IS STRONG>。ブルージーで重たいビートのナンバーだ。ヘイ、ヘイ、ミック!
本気かい?愛は強しだなんて、やめてくれないか。今のおれには冗談がきつすぎる。
(中略)
おれはすこしずつ、浮かれた気分になってくる。そうそう、女達はいつだっておれ達を
ロックさせるんだ。だが・・・・・・それも、金があればの話だぜ。
「これ、なんてバンド?」
初子がぽつりと聞いた。
「おまえ、知らないのか?」
「聴いたことのあるような声だけど」
「教えてやるよ。これがあの有名な、ゴッド・オブ・ロックンロールってバンドなのさ」
(後略)
ビル・ワイマンはとうとうストーンズを抜けてしまったようだ。
初子の乳房は思いがけなく大きく、おれはそいつに頬ずりする。
子供のころ母親が死んでしまったおれは、馬鹿でかいオッパイに弱いのだ。
しかし、どういうわけかつき合う女は知的で傲慢なくせにペチャパイばかりでうんざりさせられらものだ。
自殺を決めた直後にこんな理想的な乳房と出会うなんて、人生皮肉なものだ。
脚を広げさせ、おれはゆっくりペニスを突っ込んだ。
女とヤルなんて、何ヶ月ぶりのことだろう。このところジタバタしていて、それどころじゃなかったようだ。
しかし、ミックも苦労は絶えないようだ。ビルが抜けて、新しいベーシストを探し出すなんて頭が痛かったろう。
なあミック、おれのほうも同じでさ、経理の男がドロンしちまって、それで会社がどうにもならなくなっちまったんだ。
経理なんて会社のベースみたいなものなのになあ。
<ヴードゥー・ラウンジ>とはどういう意味かと記者に聞かれ、それは心の状態(STATE OF MIND)だとミックが答える。
おれは初子を後ろ向きにさせ、尻を抱きかかえながら頭に閃くものを感じる。
もう一回やってみろよ、と言われているような気がする。
(後略)