-ほれ、俺の内部はひろげ放しだ。俺は俺の内部に人の目に止まるような何物も持ってやしない。もの食い虫め!

 《俺が自らに徹すれば徹するほどいくらでもそこから出てくるもの。そんなものは御免だ。俺は思惟の罠にもかかりはしない。

不快の裡にひきずり出したものを俺の身に彩りつけてみるほど俺にしゃれ気はありはしない。さて、俺は夢のなかでときどき赤い顔をする。

俺は夢の中にさえ出てくる色々なものの形にまったく赤面してしまうのだ。俺はよく酒場でこんな奴をみかける。

酒が俺からなにかを出させないなら酒なぞ飲むものかと喚いている奴を-。

ところで俺のまわりにうろついているものどもときたら手ひどく俺を酔わしてかかるのだ。そいつは俺から何かをしめ出そうとかかってくる。

俺がうっかり喜ぶか、悲鳴でもあげないかとやつらのからくりを総動員してかかってくる。ぷふい! どっこい俺は空手形でさえも払ってやるものか》