>>63つづき

私は翌日、父の家を捜索した。家の中には現金が数千円しかなかった。クレジットカード類などが入った空っぽの財布が発見された。
ふだん父が身につけていたであろう中身の入った鞄が発見されなかった。また、生活にゆとりがある男の多くが身に付けるであろう腕時計や貴金属などは見つからなかった。
残金が0に近い銀行口座の通帳や、過去の使用済み通帳は発見されたが、残高が残っているであろう通帳とキャッシュカードは見つからなかった。
他に、多数の写真は残されているのにカメラは見つからず、ノートパソコンのマニュアルはあるのにパソコン本体は見つからないといったおかしなことが多数あった。
女と同居していた痕跡はなかった。
家は掃除が行き届いていないようで汚く、冬に使ったであろうストーブがそのままだった。

この初回の捜索の時点で父の遺骨は仏壇に無かったが、位牌はまだ存在していた。

その後、私は相続について調査を開始した。
すると、父の死後、父名義の銀行口座のひとつから100万円以上出金されていたことが判明した。
その他の銀行を調査したところ、他にも父名義の銀行口座の存在が確認された。家から通帳などが発見されなかったものである。現在、履歴を調査中している。

父の家には何度か捜索に入ったが、2回目以降、四十九日前の調査のとき、以前はあった父の位牌が無くなっていた。郵便物もポストには無かった。

不信感を感じた私は四十九日法要を欠席し、形見分けを中止するよう電話した。すると見知らぬ人物から「法要に来い。お前の父親だぞ。人任せにしてどういうつもりだぞ理解できない。犬のことはどうするつもりだ」とメールが来た。

その後の父の家の捜索時、新たに家の荷物が動かされていた痕跡があった。父の死後や四十九日法要以降に届いた郵便物が勝手に開封され、応接室の机の上に置かれていた。
それも、請求書などは開封されず、銀行や年金などの封書だけが開封されていた。
また、今までかかった費用(火葬費用、病院の救急処置の費用、その他)の領収書も机に置かれていた。
それには私が親戚や内縁妻らと話し合ったときのジュースの費用まで含まれていた。