うちの祖母は京都人なので、プレゼントを持っていくと必ず断られる。
普通に1回目は断る人もいるので「まあまあ、せっかく買ってきたから貰ってよ」と言っても断られる。
大阪在住の従姉が言うには、京都の古い人間の間では、なにか貰ってもひたすら断り続けるし、渡す方はもうほとんど恐喝のようにして置いていくってルールがあるらしい。
京都の年寄りめんどうくせーわ。
私は祖母に初めて断られたときは普通にしょんぼりしてしまった。
悲しそうな私を見た祖父が怒り出したらようやく祖母は貰ってくれた。
それからというものプレゼント系はすべて祖父経由で渡していたが、なんか嫌だなぁ。といつも思っていた。
かといって渡さないと遠回しに嫌みを言われるので面倒くさかった。

祖母に会うのが憂鬱になり始めたある日、私の上司が仕事中に缶コーヒーを持ってきて言った。
上司「○○さん(私)どっちのコーヒーが良い?」
私「じゃあ、左で」
別にコーヒーなんか飲みたくなかったけど私はつい答えていた。
上司はBOSSブラックをくれた。ありがとうございます。
貰ったコーヒーを飲んでいたときに「今の聞き方なら断られないんじゃね?」とピンときた私は、次の休みに祖父母宅へと向かった。
いつもは祖父母宅用と従姉用で同じお菓子をお土産として買うのだが、今回は別々のお菓子を用意。
祖父母宅に着いた私はすかさず言った。
「おばあちゃん、どっちがいい?」
祖母は「赤い方かな」と言って私のお土産を受け取ってくれた。
私はトラブルなく祖母が普通に受け取ってくれたことと作戦がうまく行ったことにビックリするやら嬉しいやらで
「貰ってくれるの?!ありがとう!」とかワケわかんないこと叫んでしまった。
その後も「赤いいよね?おばあちゃんには赤が似合うと思ってたんだよ!やっぱり赤だよね!」とか意味不明なことを捲し立ててたら、騒ぎを聞き付けた祖父とたまたま遊びに来ていた従姉がやってきたので
「おばあちゃんが私のお土産受け取ってくれたんだよ!」と大声で報告。
祖父と従姉もビックリして「すごい!」と騒ぎ出したので祖母はすごく気まずそうだった。
その後みんなでお菓子を食べて、次の日仕事だったので新幹線で帰った。