「ガスライティング」――ブラック企業が社員を辞めさせる手口
2012年01月20日16時00分
https://www.j-cast.com/kaisha/2012/01/20119421.html?p=all
 会社が社員を辞めさせるためには、どのような方法があるか。日本の労働法は解雇規制が厳しく、安易に解雇
すれば会社が訴えられるリスクが高い。裁判で負ければ「ブラック企業」のレッテルが貼られ、広く知られてし
まう。

 そこで、退職勧奨をしても自発的に辞めない場合、加害者が分からないような「間接的な嫌がらせ」をして退
職に追い込む例が実際に存在するという。その手口は「ガスライティング」と呼ばれている。

■郵便物を荒らし、集団ストーカーで不安に追い込む■

 ガスライティングとは、かつて街頭に立っていた「ガス燈」のこと。イングリット・バーグマンが主演した
同名のサスペンス映画のタイトルが、その由来だ。

 この映画では、夫から「もの忘れや盗癖が目立つ」と繰り返し指摘された妻が、自分の頭がおかしくなったと
思いこみ、不安に苛まれる様子が描かれている。しかしそれは、夫が妻を精神的に追い込むための手口だった。
一種の精神的虐待といえる。

  「ガスライティングの手法で社員を追い詰め、辞めさせる方法は、大手企業で密かに行われているのは事実
です。ガスライティングに加担した社員に接触し、確認しているので間違いありません」

 そう語るのは、ブラック企業アナリストの新田龍氏だ。具体的な手口は、会社がストーカーを雇って標的とす
る社員を集団でつけ回したり、家の前で張り込んだり室内をのぞいたりするという。郵便ポストを荒らして郵便
物をグシャグシャにすることもある。

 「誰かにつけられている」「誰かにいつも見張られてる」。そんな恐怖感から不安が高まり、体調不良になると、
上司が産業医の診察を勧める。会社と結託した産業医は「メンタルヘルス不全」の診断を下して、社員を退職に
追い込む。

 行為の一部は法的にも問題があると思われる。本当にそんなことがあるのだろうか。会社の工作ではなく、個
人の疾患や妄想ではないのか。この疑問に、新田氏はこう答える。