妹「そうして。そんときはまたペペロンチーノでも作ってくれれば良いよ」
俺「任せとけ」
妹「任せる。あ、そう言えば、そのアパートってどの辺なの?遠い?」
俺「いや?そこのスーパーの裏」
妹「はあ!?近くない!?歩いて、3分!?」
俺「2分くらいかな?そりゃ、仕事は親父と一緒に車乗って行かなきゃだから、あんまり遠いとねぇ」
妹「その距離で家出る意味あるの!?」
俺「いや、自分のスペースが広がるじゃん。料理とかめっちゃしたいし」
妹「料理今も出来るじゃん!やろうよ今からでも!」
俺「いや、台所狭いじゃん。夕飯の時に俺の別で作りづらいし」
妹「確かにそうだけど、おかんと時間ずらすとか」
俺「おかんの料理、野菜出てこないし、惣菜と揚げ物ばっかりじゃん。そういうとこも嫌だったんだよね。用意してもらってるのに、ってのはわかるんだけど、俺はもっと野菜が食べたい。温かい野菜が。鍋とかスープとか食べたいけどうちじゃ出てこないからさ」
妹「うーー、確かに、そう、だねぇ」
俺「一人暮らしなら好きなだけ野菜料理して食えるんだぞ。好きなときに好きなだけ。うちじゃ台所ひとつしかないから無理だ。だから近くても金かかっても良いから一人暮らしする」
妹「なるほど」
俺「ベランダでプランター使って野菜育てるんだ!小松菜とかニラとかミニトマトとかほうれん草とか!楽しみだわぁ!ばあちゃんが育ててたコスレタスとかもやってみたいなぁ。初めはちょっと金かかるけど、やってみたいんだ」
妹「めっちゃ目がキラキラしてる」俺「楽しみで仕方ないからな!」
妹「ちょっとウキウキしすぎじゃないかなぁ」
俺「まぁ、新生活だしな。多目に見てくれ」
妹「別にいいし。兄ちゃんの部屋好きに使うもん。でもそんな近いならすぐ遊びに行けるのになぁ」
俺「来たら良いよ」
妹「良いの?」
俺「一人暮らしだからな。野菜スープとか作ったら食べに来たら?」
妹「あぁ、一人暮らしか」
俺「一人暮らしだよ。一緒に暮らす相手なんかいないから」
妹「そっか。じゃあ暇なときに遊びに行くわ」
俺「そうして」
妹「あ、引っ越し手伝うよ」
俺「あぁ、この部屋からちょこちょこ運ぶだけだけど、まぁ何かあったらお願いするよ」
妹「お願いされようじゃないか」

カードキーのスペアキー、部屋に置いたまま外出る可能性を見越して実家の部屋に隠しておこうかと思ってるけど、妹に渡しといても良いかなって気になった。
いつも舐められてる気がしてたし、ここの兄妹達より仲良くなかったと思ってたけど、ちょっとは可愛いところもあるんだなって思っちゃったよ。