俺「社長のとこ子供居ないからな……ってかおかんも知ってたんかい」
母「妹を家まで送ってくれてね。その時上がってもらってお話ししたの」
俺「俺にも言っといてよ」
妹「兄には内緒ねって」
母「また気使ってかしこまってお礼言いに来るからって。おばあちゃんに買ってもらっちゃった!って言っときなさいって言ってたのに」
俺「妹は嘘がつけないからな」
妹「兄が尋問するからだと思うな」
俺「嘘、よくない」
妹「内緒ねって約束したんだもん」
俺「奥さんの言いそうなことだよ。俺も可愛がってもらってるから何とも言えないけどさ。とにかく明日俺からもお礼言っとくから」
妹「お願いします」
俺「で?浴衣どんなの?」
妹「あのね!紺色の布地でね!白のは……やっぱ内緒!当日のお楽しみで!」
俺「マジか。着付けとかは、おかんか」
母「浴衣の着付けくらいはすぐ覚えられるでしょ。兄も覚えといたら?」
俺「俺が覚えてもどうしようもないでしょや」
母「いざってときに役に立つかもよ?」
俺「いざってときっていつだよ」
母「そりゃあ、浴衣の女の子と出掛けてそういう雰囲気になって、ちょっと休憩した後とかに着付けてあげないとダメでしょう?」
俺「いや、おかん、そういう話はちょっと」
母「またそんな中学生みたいなこと言って。妹がって言ったって、妹くらいの年頃なら興味津々でしょうよ?」
妹「いや、確かに友達とはそういう話することはあるけど、お母さんからだと、ちょっと、何か、やだ」
母「えぇ?やだ、お母さんだけ悪者?良いじゃない。親子なんだからそういう話しても。お姉ちゃんとはこういう話いっぱいしたのよ?」
俺「姉ちゃんに対するとばっちりが酷い」
妹「お姉ちゃんも下ネタとか結構好きだもんね」
母「でしょ?だから良いのよ。兄だってねぇ?初めて彼女が出来たときはそりゃあ嬉しそうでね?」
妹「何それ聞きたい」
俺「おいバカやめろ」
母「せっせとお洒落してうきうきで出掛けてたりしたのよ」
妹「高校生の時?」
母「そうそう、ちょうど今の妹くらいの時よ」
俺「おいやめろってば」
母「お小遣いじゃ足りなくて、デートのためにせっせとバイトしてねぇ。でもバイトのし過ぎで時間とれなくてフラれたんだっけ?」
俺「そうだよ!はいこの話終わり!」
妹「他には?他には?」
俺「おいぃ!妹!」
母「二十歳くらいの時の彼女は何で別れたの?お母さん聞いてないな」
俺「言わねぇよ?」
妹「私も聞いてないな」
俺「言わねぇっつってんだろ」
母「お姉ちゃんには相談したんでしょ?」
俺「してないわ」
妹「私もされてない」
俺「妹はまだうちに来てないってか小学生だったろうが」
妹「今は?」
俺「心配しなくても今のところ相談することなんて何もないよ」
妹「へー、ほー、ふーん」
俺「何だよ!?脇腹つつくな!何もないってば!」


親ってのは、子供のほじくり返されたくない過去をわざわざほじくり返す生き物なんですかね?