売らんかなのショップだけでなく、辛口評で知られるAcid Archivesでも、「(13th Floor Elevatorsの)"Easter Everywhere"と(Golden Dawnの)"Power Plant"以来最高のテキサス産レコード」、
「正に100%のサイケデリア」、「真にインスパイアされた、独創的で妥協のない作品」、「アルバムを聴いているというより、(未知なる)心の状態に足を踏み入れるかのようだ」、「歌詞も私が聞いたなかで最高の部類」、
「サイケのリイシューで、最も重要かつ最高のアルバムのひとつ」といった最大級の賛辞が並んでいたアルバム。

たいてい、あまり期待すると裏切られるのが常だけど、これは違った。こういうのを聴きたかったというか、自分の肌にピッタリと合った。アレンジとかエフェクトとか、
表面的にはそれほど典型的なサイケっぽくないと思うし、演奏もティーンガレージ風の微妙にズレたようなアマチュアっぽいもので、歌なんかも上手くない。でも、こういうのこそが【ホンモノ】のアメリカンサイケなのではなかろうか。

なんのギミックもないオートハープの音色に秘められたサイケさが創り出す唯一無二の世界。
NYのVelvet Undergroundなんかのアンダーグラウンドさとはまた違った、冷たい月明かりに照らされたテキサスの荒涼とした砂漠の岩陰から岩陰へと蠢くような、
独特のアンダーグラウンド感覚も新鮮だ。ミニマルで反復的なフレーズやリズムに乗せた、オートハープと絶品ファズギターの絡みなんかは涙が出そうになるほど。実は僕がいちばん感動したのは、
Easter Everywhereの出来損ないみたいな3曲目のHere In The Yearだった。
明るい曲調で一見普通っぽいんだけど、むちゃくちゃサイケに聴こえる。

でも、★☆☆☆☆評価された方の気持ちもわからなくもない。逆の意味で聴く人を選ぶようなところがあるというか、これを退屈で詰まらないと感じる人のほうが健全でまともなのかもしれない。
こういうものに震えるような感動を覚える僕なんかは、きっと、どうしようもない【ダメ人間】なんだろう(苦笑)