石垣島の話。

昔、日の神(テタン ガナシ)がアマン神に国作りを命じた。アマン神は
天の七色の橋の上に立つと、大海に土石を投げ入れて天の槍矛でかき混ぜ
た。こうして出来たのが八重山の島々である。
島には阿檀(アダン)の木が生い茂っていたが、人も動物もいなかった。
はじめに、阿檀の林の穴からやどかり(アーマンチャー)が現れた。
次に、神が天から人種を降ろすと、人間の男女が出てきた。
この男女は結婚の方法も知らなかった。
神は、それぞれ反対方向に池の周りを巡るように男女に命じた。
命じられたとおり巡って行った二人は、出会ったところで思わ
ずぶつかって抱き合い、そのまま夫婦の契りを交わした。


波照間島の滅亡伝説。

「人々が背徳的な暮らしをしていたので、神は人々を滅ぼしてしまう
ことにした。けれども信心深い兄妹二人だけは洞穴に逃がし、洞穴の
口を白金の鍋で塞いだ。外には油の雨が降り、大火となって全てを
焼き滅ぼした。

ただ二人助かった兄妹は、やがて結婚して子供を生んだが、それは
魚のような子であった。住んでいる場所が悪いのだろう、と二人は
洞穴から出てその上に転居したが、そこで生まれたのはハブ(毒蛇)
のような子であった。また転居して小屋を建てて住んだ。ここに至
って、ようやく人間の子供が生まれた。女の子で、新たな女
(アラマリヌバー)という。彼女が波照間島の人間の祖となった。