そういった青臭い“フォークソング的宇宙”にも、重要な小道具として“香水”が登場するあたりが、
今の時代なのかもねと……。そんな感想も持った私だったが、それより何より印象の強かったのは、歌詞と旋律の関係であった。

 どういうことかといえばこの曲、普段の喋りコトバをまんまメロディにのせた、要するに昔の“字余りフォーク”のような構造なのである。
すなわち無理矢理音楽のなかにコトバを押し込めるようなことをしていない。
それゆえ歌詞カードを一切見なくとも歌詞が聴き取れる。なのだけれど、メロディには、ちょっと他の人にはない独特なクセのようなものがあって、
それが今いった意味での“分かりやすさ”に不思議なアクセントを添えていて、サウンドよりコトバ(日本語)や意味に寄せた作りにもかかわらず、結局、音が妙に耳に残るというのが、新鮮に思えたのだった。

 ところで『香水』の歌詞にはDOLCE & GABBANAなる具体的なブランド名が登場する。
これはひょっとして紅白歌合戦に出場となった暁などには、どうなるのかね? 
などと老婆心ながら気を揉んでしまいもするが、もうそんなことはどうでもよろしい! 
と、ついついいいたくなるほどの衝撃に、私は打ちのめされた。いや、この部分の譜割りというのか、メロディの当て方が、すごい! のである。先の何より印象が強いとの発言も、実はコレ無くしては出なかったろう、多分。

「ドールチェアーンド……」と、字であらわしてみても、ニュアンスはなかなか伝わらないかもしれないが、

 ♪つーるとかーめが……

 ですかね、音程的にも近いのは。とにかく断言出来るのは、一度聞いてしまったら最後。このフレーズから逃れるのは無理だということ。

 DOLCE & GABBANAとしても、チャート1位の曲がタダでブランドの香水の宣伝をしてくれるのだからありがたい。ここはひとつ是非とも、♪ドールチェアーンド、で目一杯TVのスポットを打ったらばどうですかね? 
きっとヤンキーとかの支持が倍増すること、俺請け合いますよ!