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 柳についてこんなお話を見つけました。別れの季節、雪に埋もれていた冬から春に
変る時期に一気に生まれる思いを喩えているのかも知れません。

【昭和62年3月28日、空路スリナガルに着いた時、ヒマラヤ山脈の麓の標高1600メートル
のこの盆地に私がまず見い出したものは、無数にある柳の木の新芽でした。それはまだ頼りない
ような黄緑色が冬枯れの枝にポツンポツンと付いているだけでしたが、私は確実な春の訪れを感
じました。スリナガル滞在の七日間は、私にとって春の訪れの勢いの凄さに感動するばかりの日々
でした、柳の新芽はアッという間に生長し、黄緑色の目立たない花が咲き始めたかと思っている
うちに、あの頼りなかった新芽はまるで大地から春を湧き上がらせているかのように、見渡す限り
を新緑で覆い尽くしてしまったのです。それにしても、この地になんと柳の多いことでしょうか。
確かにこの高地の湿地帯にとって柳は土地を守る大切な植物なのでしょう。しかし、私には雪に
埋もれて厳しい冬を過ごすこの地の人々にとって、一気に緑を吹く柳に待ちにまった春の訪れを
感じ、心から愛しているのではないかと感じました。私は遠いインドで大きな春の訪れを見つめる
ことができたのです】

 困るのは別れの時だからでしょう。私との今後の関係について悩ませるのです。