単行本発売特別企画! 菊地成孔が2005年上半期の音楽界を振り返る

――ORANGE RANGEについては本連載でも割と語っていただいていましたけれど。

菊地成孔 これを言っても別に誹謗にはならないと思うんだけど、ORANGE RANGEは盗作を前提にしている。
しかも、1曲からじゃなく複数の曲から持ってきているわけね。
盗作っていうのは、1曲対1曲の関係だと〈権利〉という
概念に対する犯罪性(笑)が際立つんだけど、
1曲対2曲になると、ターンテーブルが2台になったときのように、面白みが出てしまう(笑)。
そうなるともう 単なる盗作とは言えない。手法的にオリジナルに聴こえてしまう(笑)。
彼らは盗作を公言していて、「盗んでいくんだ」っていう、まるでヒップホップの初期 に戻ったみたいな意識的な強さがあるわけだよ。

――90年代の渋谷系と呼ばれた人たちの中にも、複数の曲から持ってきて1曲を作っている人がいましたよね。

菊地 90年代にそういうことをやっていた人たちはどこか痛いんだよ。
「洋楽のこんな渋い、美味しいところを持ってきている」という 趣味のひけらかしだったりしたわけで。
それに、これは僕の持論だけど、90年代は最もパクってない時代だった。渋谷系。というのは作曲に限った場合、楽曲 の盗作をする技術力すらなかったと思う。

ラジオにリスナーからメールがくるんだけど、アンチORANGE RANGEの勢力っていうのがものすごいあくどいんだよ(笑)。
ORANGE RANGEを褒めたりすると、どうしてあんなに彼らだけが憎悪されるのかが全くわからないレベルで誹謗や呪いのメールが俺たちに届くんだ。 しかも面白いことに、9割がアニソンのファン(笑)。
今の日本のチャート界を戦国時代の勢力図に例えると、ORANGE RANGEのファンとアニソンのファンが戦ってるの(笑)。
そして、アニソンのファンは被差別意識をエネルギーの根源としている。

http://tower.jp/article/series/2005/09/29/100045819


>そして、アニソンのファンは被差別意識をエネルギーの根源としている。

本当にこの通りで、結局劣等感の裏返しにもっともらしい正義を盾に攻撃してるだけなんだよね