>>343
「野球人生、最後の1年を俺のための1年にしてやろうと思った。投げたい球を投げたいだけ投げる。得意のスライダーをど真ん中めがけて思いっきり腕を振って投げ込む。誰に何を言われても関係ない。これを1年間やり続ける。それで派手に打たれるか、ピシャッと抑えれるかはもう知らない。社会人3年目を思い出して完全に開き直った」。能力は変わってない、むしろストレートは遅くなってたという服部さんですが、今できることを後悔しないように、ただただ全力で腕を振り続けて最後の1年間を終えようとしました。

そしてその結果、服部さんは2013年の開幕戦で8番手として登板しプロ初勝利を挙げると、プロ入り後初めてシーズン通して1軍に帯同しました。主に左打者のワンポイントととして幾度となくチームのピンチを救い、自身最多となる51試合に登板しました。開き直ってプロ6年目にして素晴らしい成績を叩き出したのです。

緊張感のある場面で、ワンポイントとしてマウンドに向かう時の心境が気になって聞いてみました。「プロで生き残るにはこの役割しかないと思ってたから、とにかく左をどう抑えるかと向き合った」といいます。ヒリヒリする場面での登板、と考えるとしんどくなるので、「たかだか1日で1アウトを取るだけの仕事。ヘタしたらマグレでも取れるかもしれない。打者は10割打つわけじゃない。ひとり抑えただけでよくやったと言われる仕事。こんな楽な仕事はない。よっしゃ! 思いっきり腕振ってこよ、って考えるようにしてたね(笑)。そのほうが自分にとっては良いパフォーマンスにつながったから。相手は変えられないからね」と思い返してくれました。