【MLB】トミー・ジョン手術に並ぶ新たな治療法が確立?ロイヤルズ投手が靭帯損傷から異例スピー
ドで復帰

米国で、断裂した靭帯を再建する「トミー・ジョン手術」に並ぶ新たな治療法が話題となっている。

MLBでは肘の靭帯断裂で、実戦復帰までに12〜15か月もの長期離脱を必要とするトミー・ジョン手術
を受ける選手が続出している。日本人ではダルビッシュ有投手や和田毅投手、NPBではソフトバンク
のロベルト・スアレス投手が同手術を受けたことは記憶に新しい。

そのような状況の中、MLBサイトでは2日付で新たな治療法を特集。トミー・ジョン手術では靭帯その
ものを体の別の部位から移植していたが、損傷状況によっては新技術で靭帯を修復することで実戦ま
での復帰期間を6〜7か月に短縮できるというものだ。

同治療法は靭帯もしくは腱の両サイドにビスを埋め込み、そこに新しく開発された靴紐のような縫合
テープを取り付けることで患部の治癒を図るものであり、患部の状態が良好な場合に有効であるとさ
れている。

同記事では靭帯や腱を、ヨットを係留する際のロープに例え、新しいロープは補強すればまだ使える
が、古く、擦り切れたりしているロープは新品への交換が望ましいとしており、前者を新治療法、後
者を従来のトミー・ジョン手術に当てはめている。そして、修復か交換の判断は外科医の診断に委ね
られるとしている。

一方で、この治療法の開発に携わっているジェフリー・デュガス医師は「トミー・ジョン手術につい
ては多くの素晴らしい経験があり、その成果はMLBが高いレベルを維持していることで証明されてい
る。そして、私はまだこの治療法を多くの選手に勧めたいとは思わない。患部の状態が悪い選手にこ
の治療法は勧められないからだ。そして、この治療法は将来的にもトミー・ジョン手術にとって代わ
られるものではないと考えている」と話しており、同治療法の一般化に慎重な見解を明らかにしてい
る。

また、同記事のリンジー・ベラ記者は「同治療法が開発されてから日が浅く、復帰後長期間にわたっ
て選手が活躍したデータがないため、1年から5年の契約を持った投手がこの治療法で靭帯再建を目指
すことが統計的にも望ましいだろう」とのコメントを残している。