「イチローは偉大な男だよ。彼は僕にとってもロールモデル(お手本)。僕は彼を見ながら育ってきた。大事な存在なんだ。
時には彼のバッティングの真似もしていたんだよ。彼は最高の選手で、野球というスポーツにとっても偉大なるアンバサダーだよ」

 2日(同3日)の敵地エンゼルス戦前のロッカールームで、嬉しそうに語ったのはインディアンスのフランシスコ・リンドーア内野手。
1日(同2日)までシアトルでの開幕カード3試合を戦っていた。ア・リーグ屈指の強豪で不動のリードオフマンを務める24歳は、
昨季打率.273、33本塁打、89打点を記録し、シルバースラッガー賞を受賞。MVP投票で5位に入った。
2016年にゴールドグラブ賞にも輝いた若きスーパースターだ。

 リンドーアは1日(同2日)のマリナーズとの開幕カード第3戦の試合前、夢にまで見た瞬間を迎えた。この日は両軍とも
試合前の練習がなく、自主的にグラウンドでキャッチボールやストレッチ、ランニングを行う選手の姿がフィールドにあった。
背番号51は通訳とキャッチボールをしていたが、そこに背後から歩み寄ったのがリンドーアだった。挨拶を交わすと、笑顔を
浮かべながら会話がスタートした。

「僕が彼のことをどれほどまでに尊敬しているか、伝えたかった」
「僕はイチローと握手するために、話しかけたんだよ。僕が彼のことをどれほどまでに尊敬しているか、伝えたかったんだ。
彼のこれまでの仕事ぶりにも感謝したんだ」

 リンドーアの“イチローファン”ぶりは想像を超えるものだった。引退後に有資格1年目で米国野球殿堂入りする男に対する
愛情と敬意を伝えるために勇気を振り絞ったという。そして、長年の憧れの存在との“初会話”が実現した。

「英語で話したよ。イチローはスペイン語も話せるみたいだけれどね。彼みたいな人がスペイン語を話してくれると、それもクールなんだけどね」

 満面の笑みでこう語ったリンドーア。イチローと直接話した後、敬意はさらに高まったという。

「話した後も最高の気持ちになれた。すごいよ。素晴らしい人だった。僕はとにかく幸せだったんだ。イチローと話すという夢が叶ったんだよ! 
彼はこんな長い間、メジャーで活躍しているんだから。すごい人格者だったね。僕は彼を尊敬しているんだ」