バット職人は多忙。

イチローのバットはミズノのアオダモ製。
久保田五十一(くぼた いそかず)という名人が作っていたが引退(今は蕎麦職人)し、
名和民夫(なわ・たみお)が引き継いだ。
イチローはバットの形状を変えないタイプの選手で、彼の好むような雰囲気のある木を使い
年間100本作らなければならない。
2008年にイチローがミズノの大阪本社を訪れた際、久保田名人から
「今後は彼がイチローさんの仕事を継ぐことになります」とイチローを紹介。
イチローは名和の作ったバットで数多くの偉大な記録を達成していくことになるのだが、
その時のイチローからの言葉が今でも忘れられないと語っている。

「相当な覚悟を持って仕事をしてください」

名和は筒香のバット作りも手掛ける。
筒香のバットはメープル製。
長さ33・5インチ(85・09センチ)重さ約880グラムだが、
イチローとの違いはミリ単位で形状を変えること。
名和は「わずかに細くすることでトップバランスを手前(グリップ方向)に持ってきた。
バットを球に当てる確率を上げるということ」と説明。
バットの芯の位置をミリ単位で動かすことは「ほとんど感覚的な部分」だそうだ。
2018年1月、筒香は岐阜・養老のバット工場に足を運んでこう語った。

「工場でちょっとずつ削って頂いて自分の体が変わってきている中で、
僕と名和さんの感覚が一致した。すごくいい」