大谷の残した結果をどう見ているのか。江本氏に聞いた。
──大谷が新人王を獲得したことで、「メジャーで二刀流が通用することが証明された」といった報道が相次いでいます。

 話題が欲しいメディアが「二刀流が認められた」と騒いでいるだけ。私にとって新人王をとったことは、たいして興味もないことです。

──新人王の投票では、大谷が圧倒的な票差で1位になりました。

 たしかに、大谷がピッチャーとバッターの両方でメジャーで通用するということは証明されました。それだけのことです。
当初の予想通り、1シーズンを通じての成績は中途半端なもので、これで「二刀流が成功した」とはとても言えません。

 22本塁打を打ったものの、休みながら試合に出ているので、打席数は367で規定打席(443打席)に到達していません。20本塁打を打つ選手ならメジャーにはたくさんいます。
ましてや、ピッチャーとしては4勝だけ。これで「二刀流」と称賛されるなら、他にもできる選手はいるでしょう。

──二刀流の問題は、どこにあるのでしょうか。

 ケガと故障のリスクです。プロ野球選手は、ケガなくシーズンを乗り切るために厳しいトレーニングをする。
それをピッチャーとバッターの両方をやるから、どうしても中途半端になってしまう。そもそも使う筋肉が違いますから。

 だから、日本ハム時代から大谷はケガが多くてシーズンをフルで活躍したことが少ない。そして、今回は肘を手術することになった。
その肘のケガはどれほどのものだったのか、どこでどのような手術が行われたのかは、いまだに詳細不明です。

 それでも、肘の故障はある程度治るでしょう。私が最も心配しているのは、次の故障で肩を痛めること。
プロ野球選手で最初から肩を痛める選手はあまりいませんが、肘など別の所をケガして、それをかばって投げているうちに、肩の故障につながる。
肩の故障は治りにくい。名投手でも、肩を痛めて引退した選手はたくさんいます。

 大谷の才能は、投手としても打者としても、いつも言うように本当に素晴らしいものです。
それでも次に肩を痛めたら、大した記録も残せないまま投手を断念することになる。もったいない!
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181115-00000065-sasahi-base