「ようやく『普通』が戻ってきた感じがするね」
ルイジアナなまりでメディアの入室をそう言ってくれたのはアーロン・ループ。言葉やしぐさに優しさをまとう、野球界でかつて出会ったことのないほどに穏やかな人だ。

「2019年、けがでシーズンを棒に振ったんだ。不幸中の幸いだったと思う。休んだことでメンタル面でのリセットができたから。その2、3年前からずっと腕が痛くて、野球を続けることを悩んでいた。
プレーすることも球場に来るのもつらかったし、当時のチームは、僕を手放したいのに代わりがいないからキープしていたのも明らかだった。野球愛は失われ、惨めだった。
でも、ずっと惨めでいるのも疲れるんだよね。リハビリを続ける中で、皆みたいにハッピーでありたいなって。まずはグッドモーニングとあいさつしよう。
少しは周囲の気分を上げられるかもしれない。そんなところから再スタートした」
 以来、腕も気持ちも右肩上がり、毎日が楽しいのだとアーロン。今年メジャー11年目を迎える彼は、もしかしたらこの契約が最後になるかもしれないとも教えてくれた。
「今だったら、いい形で終われる気がするんだ。未来は分からないけどね」